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2005.09.02

新会社法における有限会社の取扱い

新会社法では有限会社法が廃止されるため、有限会社の設立はできなくなります。約185万社の有限会社は、会社法施行前に株式会社に組織変更するか、施行後に株式会社に商号変更するか、特例有限会社として存続するかを選択します。

1. 特例有限会社として存続

  • 特例有限会社は、現行の有限会社と同じ、監査役の設置は任意、取締役や監査役の任期は無期限、決算公告義務がないといった規定はそのまま適用され、さらに、みなし株式会社として社債発行が可能になります。
    個人が会社に資金提供する場合、貸付による受取利息は、雑所得として他の所得と合算し確定申告しなければなりませんが、社債による受取利息は、利子所得として20%源泉徴収のみで課税が終了し確定申告する必要はありません。

2. 最低資本金規制の撤廃と消費税の納税義務

  • 最低資本金規制がなくなるため、約2万社の確認会社は増資の必要がなくなり、全ての会社は1円まで減資可能です。ただし、債権者保護のため純資産300万円がなければ配当等の剰余金の分配はできません。また、消費税は、資本金1,000万円以上の新設法人のみ初年度から申告しますが、1,000万円未満の法人は最初の2期間は基準期間がないため売上金額に関わらず申告義務のない免税事業者になります。

3. 評価益を計上する組織変更

  • 現行法では、株式会社へ組織変更するには、資本金1,000万円への増資が必要で、税務上は、株主割当増資や時価発行による第3者割当増資を行えば課税は生じません。
    組織変更に伴い例外的に認められている資産の評価益を利用する場合は課税対象となりますが、評価益が繰越欠損金の範囲内であれば相殺されるため課税は生じません。
    ところが、新会社法では、株式会社へは商号変更となり、評価益の計上はできません。従って、繰越欠損金と相殺するために評価益を計上するには、組織変更による必要があります。

4. 金庫株を利用した事業承継対策

  • 新会社では、会社は株主総会の決議によりいつでも株主から自己株式を買い取れるようになり、オーナーに相続が発生した場合、相続人は納税資金のために利用することができます。
    税務上も、平成16年度の税制改正から、相続税の申告期限から3年以内に相続株式を発行会社に譲渡した場合には、譲渡所得課税として相続税の取得費加算の特例も利用できます。
    さらに、新会社法では、譲渡制限株式に限り、定款で相続人等に対する売渡し請求を定めることで、会社が相続株式を買い取り相続による株式の分散を防ぐことができるようになります。