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2008.10.01

自社株にかかる相続税の納税猶予

「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」には、@遺留分に関する民法の特例、A事業承継時の金融支援措置、B事業承継税制の枠組みが盛り込まれています。

◆ 自社株の納税猶予制度

後継者(6親等以内の血族あるいは3親等以内の姻族)が相続または遺贈により取得した自社株のうち、3分の2を限度として課税価格の80%に対する相続税が猶予されます。
対象株式は、中小企業基本法に定める株式。資産管理会社は適用除外ですが、以下の要件をすべて満たせば対象となります。
@事務所・店舗・工場等を所有、または賃借している。
A常時使用する従業員数が5人以上。
70歳未満は「厚生年金保険の標準報酬月額決定書」、70歳以上75歳未満は「健康保険の標準報酬月額決定書」が従業員数証明書。
B被相続人の死亡日前3年以上継続して事業活動をしている。

<被相続人:旧代表者>

会社の代表者であった。
同族関係者と合わせて議決権の過半数を保有し、かつ、後継者相続人以外の同族関係者の中で筆頭株主であった。

<相続人:後継者>

相続開始前に既に取締役であり、申告期限までに代表者になっている。
同族関係者と合わせて議決権の過半数を保有し、かつ、同族関係者の中で筆頭株主である。

◆ 生前に確認の申請

経済産業大臣へ計画的な事業承継への取り組みの確認申請書及び添付書類を提出します。

◆ 相続発生後は認定の申請

相続開始から10か月以内に、同大臣に「自社株にかかる相続税の納税猶予」のための認定申請書及び添付書類を提出し、認定書の交付を受けます。認定後に相続税の申告をします。

◆ 納税猶予後5年間は報告書提出

毎年、同大臣に事業継続の報告書及び添付書類を提出し、代表権を有しているか、常時使用する従業員数が8割以上を維持しているかを明記します。

◆ 5年経過後に譲渡した場合

譲渡時には、譲渡の割合に応じた納税猶予が取り消され、本税に加えて利子税も納付しなければなりません。死亡時まで保有すれば納税が免除されます。

◆ 自社株の担保提供義務

納税猶予が適用される全株式について株券を発行し、法務局で供託します。議決権には影響ありません。